ひかり/番田
どこかにいきたいと思う
ここはとても寂しい場所だ
自分からの声もないけれど
夜の帳の中に入ると
木の葉の破片を見た
＊
ヤゴかゲンゴロウかもしれない
光っぽいものを掬い上げようとした
目の前にいくつかのゴミを追い続けながら
虫取り網を手に掴んで
虫かごの中に入れ
あそこへともなく歩いていった
なにもおこらないままに
ほわりとした光を見つめた
そんな何かを手につかんだ
月の暗がりの下にしゃがみ込んで
獲物は這うでもなく
光に近づくというわけでもなく
虫篭を開けた
体の外に歩いた
打ち砕かれていくような川のしぶきを
いくつもの泳ぐ魚の鱗が見えた
＊
あいつはいったいどこへいくのだろう
暗やんだ空に飛び出していった
一個の光が
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