レモネエド・ジンジヤアエエルのある風景/仲本いすら
らだ。だから、パンダもいない。
このまちにはパンダもいない。
白黒つけることもできず、あいまいに、通り過ぎる。通り過ぎた。
生まれたばかりのトンボの群れが前髪にふれる。
垂らしたままの前髪にふれる。
*
走りながら考えること。
このままアスフアルトに顔面から転ぶなら
きっとたくさん血が出て痛いだろうなあということ。
走りながら考えなかったこと。
これからどこへ向かうかということ。
「それから、彼は子宮口をさがした。」
「つくるためでなく、」
「またでてゆくためだ。」
「アイ・シンク・トウー。」
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