名前を消されて-0.5-/AKiHiCo
 
う会えないであろう母親に会えるのですから

口に出せば白眼視されてしまいそうで
指を軽く曲げて爪が在るのを確認しながら
微苦笑を放り投げました
この先には歩ける路が在るのでしょうか
無くとも誰かがきっと導いて下さると

信じていてもよいでしょうか、

返事のない問い掛けは
繰り返されました

静寂だけが部屋を埋めてゆきます
月灯りが優しく緩やかに
けれど冷ややかに


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