胎盤/
ホロウ・シカエルボク
して
赤子に手を伸ばしたまま
菩薩のようなささやかな笑みを浮かべてこと切れていた
紫色の唇は
噛みしめたせいか
初めて真紅に染まっていた
いま、赤子は眠っている
そこに乳はないが
そこに母はないが
彼女のことを覚えている人たちが
彼に暖かい寝床を用意した
その唇は血のように赤く
右の腕には
激しく切り刻んだ訳の判らない模様があった…
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