おまじない/殿岡秀秋
 
日曜日で小学校は休みである
縁側で日向ぼっこをしながら
ナシナシナシ
とぼくはつぶやく

自転車に乗れないのはおまえだけだと
次兄がぼくを小ばかにした
ぼくは言い返せないで澱んだ気分を
無かったことにする

声にださないと
消えてくれないので
ナシナシナシと
つぶやきつづける

ぼくの気持ちが
納得するまで
続けなければならない
おまじないの決まりだ
長兄が気づいて
おかしなことを言っているぞ
と唇で笑いながら家族にしらせる
首筋に糸が張ってぼくは声を呑みこむ
しかしはじめたら途中で止められない
神様との約束だ

仕方なく小声でつぶやく
家族が
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