ゆうれいのダイアリー/コーリャ
/7月14日
バスを待つのは孤独な作業だ
ショーウィンドウに映写したすがたは
まるで霊体みたいにみえ
もしほんとうにそうだったなら
きみにもおんなじ
感謝と崇拝と
それいがいのいらない感情を
あたえることができるのだろうか
夜明けと夕暮れでできたモグラの
でかいヘッドライトは
暗闇にしめった雨道を掘って
短い息を吐きながら
バスストップの前でとまり
個人的なゆうれいたちは
ほとんど同時に
腕時計をのぞきこむ
秒針のようにふる雨が
頬にあたる
/6月28日
夜光が行進していく
明け透けな音楽が鳴りはじめる
質感をもった音符はやがて成
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