安全ピンなら安全ですから/木屋 亞万
名札についている安全ピンになかなかどうして不安になるのでしょうか。服に穴を開けるときに針が皮膚まで達してしまったらなんて、そんなことがある訳ないでしょう。
ピストルに安全装置がついていてそれでも人を殺すといいますが、銃弾は人を穿つためにあるのですから、完全に安全になったならばそれはただのモデルガンではないですか。
彼は自分のソレをマグナムだと言いましたが、私にはただのミシン針にしか見えませんでした。手当たり次第に布を押さえつけては刺し込んで、暴走気味の糸車から白糸を布の奥へ潜らせていきます。
ミシン針を無理矢理に動かし続けるとすぐに折れてしまうことを私は知っていました。工場からミシン針は山ほ
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