星の命名/yo-yo
空のどこかに 始まりと終わりがあるのか
いつまでも一日が終わらない ぼくたちの
浮遊する魂の 影を見失うころ
すべてのかげが消えて そこから
すべてのかげが あたらしく生まれる
幾夜かをつないで 星をかぞえた
辿りつけない距離に 距離をかさねた
星が生まれるように たぶん
きみも生まれた ぼくも生まれた
星と星は
音のない音で 響き合っていた
風は
風の始まりを 告げていた
かすかに花を揺らす
そんな言葉で
虫たちがおどろき 飛びたったあとの
草がもえる道で ぼくたちは風になるだろう
花から花へ 花の言葉に触れながら
蕾をおしひらく いのちの声を聞くだろう
星の名前も知らないままに
星にみちびかれて 迷子になるだろう
夜の道をたどる 影のように
探しつづけて 遠まわりするだろう
伝えたいことは まだ
言葉にできない
名のない星が
掌のなかで燃えている
指の先まで熱い ぼくたちの
逡巡する あしたの始まりの方へと
やさしい合図を送っている
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