自由詩な葉っぱ緑/ムネーモシュネーと睡蓮/海里
ここはキップルの岸辺
聖なるアイビス
トキ色のフェニックスはフラミンゴ
眠たげなムネーモシュネー
記憶の女神
さようならの廃墟は
夢において不毛の大地
アインすなわち瞳、
というのは泉のことです
大地の泉
みずうみの泉
有翼の青年ヒュプノス
眠りの神が一面に
赤い芥子も青い芥子も咲かせています
水の面の睡蓮は
およそ心というものを持つものたちの
心そのもののように
光と風と水と泥と大地にまみえて咲く
ムネーモシュネー
微睡みがちな記憶の女神
ひとたちは
記憶ではなく記録を手に入れた
憶えておくことのかわりに
忘れることのかわりに
詩(うた)の指輪は泥に投げ込まれたまま
未だ見出した者はいない
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