路傍の石/吉岡ペペロ
 
悲しみには涙がにあう

哀しみには命がにあう

悲しくて哀しくて

暗闇だからこそ

いっそう光に感じやすくなっている

ひとに優しくなったり

申し訳なくなったり

じぶんの我慢していることに気づいたり

なぜこんなとき

妻やこどもたちにではなく

愛人に

会いに行きたくなるのだろう

行ったら行ったで

悲しみや哀しみは

路傍の石のごとく捨ておかれ

セックスまでの時間を

ふたりで消し込んでゆくだけなのに
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