不感症/本木はじめ
どこまでもいけるかと問われれば
ぼくらは無粋
幾重にも目隠しをほどこしてはうなずくだろう
いけますん
寝癖から墓地
そんなにも遠い距離を歩きながら
くたびれてはぐんと空をみあげてあくびする
しびれをきらした星座たちが
十字に流れ出すみたく
きみのよだれによだれを重ね
いつの間にか告白している
きみはまるで弥勒みたいにかわいい
懺悔のようにしらじらしい映画のワンシーンのように
目を白黒させながらも
徘徊し続ける
街の骨董店の窓際で
金魚鉢のひとつでも覗き込めば
見えるさ
宙に浮く巨大な電信柱の真下を
ガスマスクを装着した迷子みたいに
歩いてゆく
ぼくらの恋の幽霊が
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