不感症/本木はじめ
 
どこかで落下する
果物の感傷のなかで
頭痛がするすると昇ってゆき
遂にまくらだけを欲するくらい布団のなか
ぼくら季節から逃れた羊たちのように
こんばんわを言い続けてる
床の上からゆっくりと傾斜
畳の彼方に寂れた一組のブランコが
呼んでるから
ぼくら一目散に駆け出してゆく
きいきいきいきい腰かけては
何回もはじまり続ける
会話のための会話に夢中
望まれる直線的な安定を理解してはいるけれど
むしろ僕ら不安定なかたちを求める
錆び付いたチェーン握りしめれば
簡単さ単純な低空飛行の曇り空みたいに
どんよりできる
もはや頭上から降ってくるものに
怯えることもしない

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