京さん −荒川通り3丁目ー/リーフレイン
 
がもたんそうだった。
ふたありとも身も世もないと悲しんで泣き暮らしていたところ、おとっつあんのあにさんが、「わしゃがんとこはもう子供もたんといるし、次がまたおなごやったらおんしんとこにやろう」と言うた。「あにさん、ありがとうございます。おらあ大事にするでよお。蝶よ花よって育てるよお。でもって三国一の婿さんもろってこのうち継いでもらうよお。ああ、ありがたやありがたや。ああ、ありがたや」と涙をながしてあにさんの手をにぎり、よろこんだ。
次の年、あにさんとこに女の子が生まれた。四人目の女の子で色白で髪も黒くてかあいらしい赤んぼだった。お七夜のお祝いの夜、あにさんはおとっつあんをちょっとはばかるような
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