愛鍵/
小川 葉
のだけれど
何も覚えていない朝
目覚めて僕はまた仕事に出かける
いつものように鍵をかけて
何ひとつ交換されずに
折れてしまった合鍵だけが
新しくなっている
そして夫婦のどちらかが
いつか先立っていくまでに
奇跡的に愛は壊れませんでした
というような
ラストシーンを思い描きながら
僕はどこまでも走っていく
たとえ何があろうとも
それだけは変わらない
変えてほしくない
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