籠のなかの三日月/mayuki
 
彼らは、一体僕を、生かしたいのだろうか?
それとも、狂い死ぬのを、ただひたすらに待っているのだろうか……?

だとしたら僕はきっと期待に沿うのには、
時間がかかりすぎる被験者じゃないかな。


見上げた窓からは、まだ三日月の弱い光が差し込んでいた。
ここから見る分には、あっちの方が閉じ込められてるみたいに見える。

コッチガワは僕の世界。
あっちがわにいる彼女は、まだ、無事だろうか?

僕が急に居なくなったことで、
探しているのではないかな?
泣いているのではないかな?

それとももう、次の新しい僕を見つけているだろうか?


用済みになった僕は、一体この箱の中で、どういう終わりを迎えるんだろう。
叫ぶように問いかけても、
誰も、答えを用意してなんてくれなくて。


そこには、残酷に微笑む月だけが、僕を、格子の形に刻むのだった。
戻る   Point(1)