籠のなかの三日月/mayuki
彼らは、一体僕を、生かしたいのだろうか?
それとも、狂い死ぬのを、ただひたすらに待っているのだろうか……?
だとしたら僕はきっと期待に沿うのには、
時間がかかりすぎる被験者じゃないかな。
見上げた窓からは、まだ三日月の弱い光が差し込んでいた。
ここから見る分には、あっちの方が閉じ込められてるみたいに見える。
コッチガワは僕の世界。
あっちがわにいる彼女は、まだ、無事だろうか?
僕が急に居なくなったことで、
探しているのではないかな?
泣いているのではないかな?
それとももう、次の新しい僕を見つけているだろうか?
用済みになった僕は、一体この箱の中で、どういう終わりを迎えるんだろう。
叫ぶように問いかけても、
誰も、答えを用意してなんてくれなくて。
そこには、残酷に微笑む月だけが、僕を、格子の形に刻むのだった。
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