性と死と血と果実とクーラーの箱/木屋 亞万
くように感じられた
薄れゆく意識のなかで、死の果実は緑黄色野菜に入るのかを
家庭科の先生に聞きそびれていたことを思い出した
氾濫しても川の流れは軌道修正も流量制御もしない
血液もとめどなく外の世界へ溢れ出している
結局わたしたちは必ず何かに殺されているという誰もがたどり着く極論が頭を真っ赤に染めた
その何かが、医師か妻か自分か社会か大自然か、あるいは死人か死神か、それだけだ
妻はわたしの腹をバターナイフのようなメスで切り開いて、
臓器をクーラーボックスに詰めていった
彼女はわたしの臓器を背負って街へと売りに出かけるのだろう
それで家計が少しでも楽になればと思わずにはいられなかった
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