自由詩な葉っぱ緑/手のひら森/海里
 
ただそのひとが
そのひとにおいてそのひとであることは
ときどき
とても難しいことらしくて

大勢が集まるところでは
草いきれむんむん
手のひらばかりのざわざわ森のようです

手招きや
後ろ指さし
追い払う仕草、こぶし、シュプレヒコール

綾とりや指ずもう、握手と拍手
バイバイ、あっかんべ、繰り返される深爪

ひらひらとひるがえる
幾つもの幾つもの手のひら

本当はみんな
緑色になって
自分のための呼吸と
自分の分の光合成だけしていればいいのに

それなのに全身アボガド色になって
水かきつけて古池に飛び込み続けてるのは
何があきたらないからなのか

いつかは皆
それぞれの秋を迎えて
それなりにかがやかな紅葉になって
散り果てるのかもしれないけれど
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