耳カスが溜まってたんですって/木左右未
 
いたが

二、三日もすれば帰ってくるのだった

旅の結果が虚しいものになることを知るのに不思議と時間はかからなかったのだ

ある夜、大きな流れ星が

ある夜の空に流れ去って行った

世界中の中のその時に夜だった国の、かなりの多くの人々は

星にこう願いを託してみたのだった

「ほんの少しでいいから、誰かに通じる言葉が欲しい」

すると、あくる朝に世界中の人々にまた異変が起きた

言葉が通じるのだった

しかし通じる言葉は2つだけ

「ああういーあ」

「うおおーうあ」の

ふたつだけ

それでも世界中の人たちは多いに喜んだ

世界中の人々は、その日の仕事が終わると喜んで家族や友人と会話を楽しんだ

「ああういーあ」と言っては家族と笑い

「うおおーうあ」と、恋人たちは涙した

長距離電話をかけようとする者は誰もいなかったが

世界中が

どこも

かしこも

「ああういーあ」

「うおおーうあ」


幸せに満ちていた

ああういーあ
戻る   Point(1)