自由詩な葉っぱ緑/百合のグリマング/海里
キップルのように百合が咲く
部屋の中に果てしなく殖えていくガラクタたち
ダイレクトメールとか
何だかわからない便利グッズとか
ひとが目を放してる隙に
自分たち同士で繁殖しているらしい
ナガミノゲシのように百合が咲く
今きみが咲いているところ
そこに君が去年いなかったことだけはよく覚えてる
いちいち名前も意識しない見慣れた草の一群から
ひとの背丈分ほども立ち上がって
白い花
百合の花
地図にない街のあちこちで揺れている
細い茎
すいと伸ばして
何か吐き出しているのか
何か吸い込んでいるのか
裏庭のオトウサンモドキたちのように
いつのまにか咲いているパイオニアリリーズ
見知らぬ
誰かひとひとりずつの面影を宿して
できるだけ誰何されないように俯いて
キップルたちの夜
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