1102/唐草フウ
 
かなしかったでしょう

ごめんなさい
分からないのにわかったふうなことを書いてしまって


それが一分のサイレンの中に
すべて凝縮される
走馬灯が
虫酸が
鳥肌が走る
見なくてはいけない現実


しょうじき、もうこんなこと書きたくない
どんどん、偉そうになっていくから
あとに生まれたわたしには
なんにもわかっていないのかもしれない
わかってはいないのだ
だけど手を合わせてもいいですか
そうせずにはいられないのです

毎年のことなのに
毎年くりかえし同じように思う
思っている
くりかえし


一分間の鐘の音とサイレン
そのなかに蝉の声があることに救われる
そしてたくさんわたしから流れたなみだが
生きている液体が
すうっとそらの色へ帰り、見上げれば
青いものになって





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