1102/唐草フウ
これから
あのおも苦しくて
食欲のない時に食べなさいといわれても箸がすすまずに
高い熱があるときに自力で病院まで這って歩くときのように
とんでもない大雨で身動きのとれないひとりの空間
エレベーターがとまってそこにたった一人の空間
心臓がどくんどくんどくん
とまらなくながれる
それはここに生まれた以上
見なくてはいけない現実
むしめがねで太陽を見る
まぶしさ
せみの鳴き声なんていない 夏
誰だって思い出したくないこと
あるでしょう
苦しいでしょう
見なくてはいけない現実
熱かったでしょう
苦しかったでしょう
淋しかったでしょう
痛かったでしょう
かな
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