秋の日のオープンカー/番田 
 

ひとりの僕は憂鬱な思いで
応える
僕に憂鬱であることは
寂しいから

誰かがここに来てくれたらと
窓を開けて待っている
車に乗っていた



遠くに見えるのは江戸川で
僕は安もののルアーでも持っているから
かかるのは誰のルアーでもなく
何か釣れたらいいな

ルアーを江戸川には魚がうようよしている
潜水艦のような
誰かを爆撃するわけではないけれど

エレキギターを弾いてもいいかい
僕はロックが好きなんだ
僕はロックがとても
レコードも百枚持っているよ
好きなんだ



夏の日だ
歩き回る夏の体にはないけれど そうすれば
秋の日にオープンカーに乗れる 僕は
ひとりのオープンカーは
老人というわけでは
いつも彼女でもいてくれればと思う


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