夢みればいつも〜満月とスバルがなかよく散歩する深夜/草野大悟
にもあっけない落ちかたで
ポトン、と、海に
よく知っている連中に言わせると
やっぱ、空に飽きたんダロ
ということになるけれど
どうもそうではなく
地中深く潜行し尽くした後に空に昇って
華やかに、どうだい、という生き方に
愛想が尽きただけ
ということらしい
夢みればいつも
きみは夢になっていた
海のリズムそのままに
腕と腕をしっかり絡め合いながら
一生に一度だけの交接をするコウイカの必然が
ふたりの命を持ち去ったとしても
満月が笑う夢の中を
ぼくは
きょうも
風たちを探して
さめざめと彷徨っているんだ
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