あの子たべたい/わだち彩子
 
わたしにはとうてい知りえなかったことがある
そのやわらかな皮膚やしろいにのうで、滾る血潮
あたたかな胃液にゆれるわたしの唾液
そのすべての美しいこと

エンドロールを延々とながめているようだ、わたし
きみの殺したものばかりあつめてはきっとわらっている

静脈のようなきみ

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