山の向う/嘉野千尋
 


  昨日
  滅びていく愛が
  冬の名残の夕日のように
  山脈を焦がした


  山の向こう
  いつか
  わたしもあなたも
  あの夕日を追って
  そこへ行くのかしら


  約束の地を目指す 
  巡礼者の顔で
  あるいは
  荒々しい侵略者の足取りで
  山を登って



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