ふるえる前頭葉/わだち彩子
・痩せた回遊魚はいつ死ぬのか
・ぶくぶくに肥えた犬が吼える
・コバルトブルーのコンドーム
・ふっくらと炊きあがった朝に午前八時の朝日で見えるあなたの産毛、瞳のなかの宇宙、小さなブラックホール。わたしはいつだって泣かないように必死だ。
美しいものはあなた。こんなにもかわいそうなわたしを許してくれる。
平熱がひくいんだ、サイコなんだ。
わたしはどうして生きていられるの。いつまでもあなたのそばにいていいの。いつまでもあなたにくるまっていればいいの。いつまでもふたりこうして暮らしていけばいいの。わたしは何度でも雨にうたれて、あなたは何度でもわたしを水色のバスタオルであたたかく包んでくれる。
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