マナウス/……とある蛙
ー少年はマナウスを夢見ていた
川の対岸に沈む夕日を
アマゾンの熱い空気圧を
しかし、
川の向こうの水平線に
大きな夕日が沈む時
マナウスの熱い夜が始まり、
船が夜の川をゆっくり滑り落ちる。
獣の咆哮
鳥の声
ネットリとした熱帯の空気圧が
少年の眠りを妨げる。
得たいの知れない神が
熱帯の空気圧に潜んで
そっと少年の息を止めようと
陰謀を企んでいるのか。
少年は少年で暗がりを
じっと睨んで
熱帯の空気を自分の身体に
そっと取り込もうともがき始めた。
しかし、熱帯の闇は
少年の息のする限り
あるいは色のない原色の羽根の鳥の鳴き声
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