切片/西日 茜
 
かの関係性が
わたしを 形成しているという感覚だった
真夏の通り雨が 腐った魚の 吐き気がする臭いを
消し去る小気味良さに カラカラと笑った
少し 骨が軋んだ音がして 見上げると
黄色い空に たくさんの半透明の稚魚が 浮かんで
前に見た 水族館の 真っ暗な深海に住む
グロテスクな巨大魚に
どれも これも 端から ゆっくりとヤラレテいる
あの深海魚に似ているやつらに 
わたしは おくり物をもらった そして
いつかは ゆっくりと 食されてしまう
おくり物は 次から次へと 送られてくるので
わたしは それを 受け取り続ける
あなたと 遠く離れてしまったと
やっと気付いた
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