海嘯/ジャイコ
 
美しい歌声が嘘を残して海に散る。
そんな憧憬をすぐに蹴散らす僕の耳。

悲しみの表面には君の笑顔が映らないように、
僕の涙の成分はすべて君への憎しみで出来ていて、
もう空に昇るのは雨の支配した時の音のみで。

瑠璃の焔は僕を焦がし、
ただ漏れる鬱屈した空気をせめて浄化する虹を探してさ迷う放課後。
袋小路では答えを造る果実も成らず。
ただ君の声にざわめく空へと回帰したいだけの小鳥を。


  どうか、彼女らに
  安らかな眠りを
  爽やかな目覚めを


ただ何気無く放った僕の青が、
降り止まない君の雨を浸食して融かしてしまう。
それは残念でもあるけれど、

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