走り書き/新守山ダダマ
私の字はどんどん汚くなっていく
言葉が泣いている
きれいに書かれたかっただろうに
誰も読めないような字にされて
私は言葉に土下座したい
それでも急がなければ
大事なこともすぐメモしないと忘れそうだし
書きたいことが多すぎて
ついついペンを加速させてしまうのだ
大事なことなら落ち着いて書きたい
いい言葉なら文字も美しくしたい
言葉を愛すると言いながら
私は愛するものにひどい仕打ちをしている
書くことは生きることだと言いながら
私は堂々と生きられていない
書くことは生きることだと言うのなら
私は書道家をめざすべきなのかもしれない
でも実際は速記の方が向いているようだ
それでも私は自分の言葉にこだわりたい
完璧にきれいな字なんて書けないけれど
言葉に対して自分に対して誠実でありたい
それでも今こうして書いている言葉も
すぐに書きたくて書くので汚くなっている
愛情表現は難しい
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