私とチョコレート/ゆるこ
 
カダミアチョコレートはさくさくと
おかあさんの名を呼びながら消えてゆく
私はその音が大好きだ


人身事故があった
毎日使う黄色い列車はまた一つ間違えた魂を浄化させた
ホログラムが見えた気がしたがきにしないよ、私はまだいきるのさ
今日はチョコレートを多めに買った
歩きながら食べる私はさながら飢餓の境地に立つものの目になっていたのではないかとふと、思えば
昔すきだった柔軟剤の香りを纏った人々が脇を通り抜けていった
私は口に運ぶ手を休めない
孤児のように ずるずると歩く


歩け 歩け
原動力はまだある
唇の端から垂れはじめた黒い血液は、一時的な麻薬
まだ 生きてるぞ
まだ 歩けるぞ
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