すぎる水/木立 悟
水の上の火
空の姿か
底の姿かわからぬまま
ひとり ほどける
風 息 原へ
去るを見る
砕けるを見る
散るを見る
傘をたたむ
遅い夜の色
ひとつやわらかな
人わすれ人
滴をぬぐう手
黒と異の粒
ぬぐいきれない空の針
生まれつづける緋のにおい
よく似たものが歩いてゆく
今もどこかを歩いている
帆の醒める音
醒める音
いつか再び会えるのだろうか
頂きの痛み
曇間の声
眠りの失いまたたき
冬の遊具
鬼火
吹雪が吹雪を追い
街をすぎる
多くの色が流れ落ちてゆく
低いところ
さ
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