スーパーへ行く人/吉田ぐんじょう
 
毎日
夕暮れ時になると
必ずスーパーマーケットへ行ってしまう
何か買うべきものがあるように思うのだ
冷蔵庫の中には
肉も野菜もそろっているのに
心の片隅がすうすうして
それを埋めるものを買いたい


自動ドアが開くと
許されたようで安心するんだ


そのまま
棚と棚との間を回遊魚のようにふらついて
カップラーメンをいくつか籠へ入れた
子供のころ
日曜日に父親と二人きりだと
昼食は毎回カップラーメンだった
大きいやかんで沸かした熱湯を
二人で大騒ぎしながら線まで注いだ
そのためか今でも
カップラーメンを食べるときは
少し嬉しくなってしまう



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