かたちない日々/草野春心
 



  引用符を背負った
  かたちのない人たち



  昨日の影に向って
  蝉の声が落ちてくる



  薄暗い景色は
  横断歩道の向こうで止まった
  僕をさそって



  ガソリンの匂いと
  警笛の哄笑の中で
  意味のない涙をこらえたら
  舌がじんと痺れた



  引用符のついた
  かたちのない日々



  どんなに繰り返しても
  僕は君を忘れるだろう
  この夏と同じように





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