機械になりたい/三原千尋
なたは言うが
紙に綴られた自分とは無関係の綺麗な物語を
泥を吐いたその口で貪るその矛盾を
一体どう説明する
言葉いらない
感情いらない
そう呻いて自分の命を疎ましがるあなたは
ほとんどそのふたつだけで
生きているようにしか私には見えない
真摯だからこそ傷付くのだと
青く甘い蜜を与えるのも
依存し過ぎるからそんな事になるのだと
苦い泥顔面に投げつけて息の根止めてやるのも
どちらにしても面倒臭いな
ただ黙って
受け止める振りして素早く避けるだけ
泥団子ではキャッチボールは出来ない
手錠をしてる人間に
何を投げても捕れやしない
言葉にも人間にも不遜なあなたは
綺麗なものを好きなように食べ散らかし
好きなだけ泥を吐き出し続ける
迷惑この上ない工場だ
あちこち軋んで痛み続けても
動きを止めないいかれた機械だ
そのことに気付いていないのは
膝を抱え必死に人間のふりをし続ける
あなただけだというのに
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