かげのけいれい/たりぽん(大理 奔)
猛禽の切り取る曲線を雲に重ねてみると
南風の通り道がみえるだろ?
無粋な飛行機雲が一直線に
線香の燃えかすみたいに消えていく
なんべんもね、手をかざしたんだ
日差しが眩しかったからね
ふいに濃さを増した影が
そらに敬礼しているだろ
川面の黒さについて
昨日から考え続けている
透明な水が流れながら
黒く何を映しているのか
セピア色のサングラスで橋の下をのぞくと
そこはもっとまっ黒で
カルスト台地で割れ目にむかう地下水
いや、氷河の割れ目に消える流れのように
そこはもっとまっくらで
あの静かな海にむかって旅すると言うことは
こんなに薄暗く潜っていかなければならないの
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