帰京前夜/
北村 守通
注意事項について
親切丁寧に講釈してくれた
頬の陥没したおじさまは
今も達者に暮らしているんだろうか
私の知らない人達の
集まりは
営みは
やはり
私が知らなかったままに
そこにあって
やはり私とすれ違い
それでもその距離が
徐々に縮まりつつあることを認識しないままに
あるのだろうか
世界は収縮している
分子間の引力を肌に感じることができるほどに
宇宙は収縮していたのだ
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