ランナー/番田
河原を歩いている
貧血になるまで走って
いつも勝てなかった
僕より背の高かったあいつのストライドを
目指して走っている
必死で走っている
今は
どこにいったのだろうか
不況などちっぽけなものだ
ジョギングをしている人がいた
ただライバルの背中を追い抜きたかった
中学時代のあの僕の背中があった
人たちがすれ違う
みんなどこに行くのだ
あの
シャツを見ている
糸がほつれて捨ててしまった
汗だくのTシャツがある
そんな
僕は
何を目指しているかということはどうでもよかった
自転車をこいでいる人よ
丁度
こんな八月の灼熱で
僕も昔はランナーだった
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