風に吹かれて/ホロウ・シカエルボク
「ここは面白いよ、とても」玄関に開いた大穴から俺は外に出た、あいつは多分悪霊なんて呼ばれる類のものだろう、「ここは面白いよ」という言葉に興味はあったが、時刻はもう夜明けに近くなっていた―確信はないが、きっと夜が明けるまでフラフラしていたら死んでしまうのではないかという気持ちがずっとあった…俺は翼を広げ、一気に上昇すると、さっき俺が居た部屋のひとつ下の階から気をつけのまま背骨をなくしてしまったみたいな女がひとり、神粘土のような表情でこちらを見上げていた、なるほどね、と俺は思った。
明日からしばらくは退屈しなくて済みそうだ。
戻る 編 削 Point(1)