風に吹かれて/ホロウ・シカエルボク
 
うな調子で開かれたままぼんやりしている、おそらく人には上がることが出来ないだろう畳には雀か何かの死骸があり、骨と羽だけのそれは、まるで無機質ななにかで雀そのものの在り方を模写しようと試みた結果であるかのようだ。

硬直した炎のように存在意義を失った網戸の中では、三匹の墨のようなカナブン「飛びたかった」と言いたげな半端に開いた硬い羽。

夜毎身体から離脱するようになってもう3年になる、初めはそのうち戻ってこれなくなるのではないかと不安だったが、ひと月、ふた月と経過するうちそんな恐れはいつの間にかなくなっていた、俺という鳥に特定の名前はない、だいたいが、特別鳥に詳しい方ではなかった…俺がいま鳥
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