見つめるひと/恋月 ぴの
 
飼い猫と捨て猫の違いぐらい
こんな私だってわきまえているよ

あなたに甘えられなくて
ミカン箱の中で過ごした一夜

大輪の花火きれいだとあなたは言った
そんな花火になりたくて
この街へ出てきたはずだったのに

つっかけから覗く紅いペディキュア
とうに剥がれかかっていて

ひとりぼっちの線香花火

なぁんにも言わずぽとりと落ちた



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