ふる むーん/mayuki
救いなんて
いつまで待っても
来やしない
月は続ける
あたしはもう
かれこれ数十億年
こうして待って
いるけれど
だれも
ひとりも
迎えにきてなんて
くれなかったよ
いつもより金色を
振り撒く量を多目にして
月はそうやって
嘆くんだ
ちょっとまえに
地球から
あたしのことを調べに
何人か人間が
きたみたいだけど
あたしのほっぺたを
撫でるだけで
また地球に
帰っていってしまったし
もうそろそろ
泣いても
いいかな
もうあたし
まちくたびれて
しまったんだもの
そう言うと月は
あたしにだけ分かるように
ほろりと
おおきな
涙をこぼした
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