検体記/ogawa hana
 

蔓のような情欲だった。昔はもっと好かれていたような気がするんだ、赤の他人にもね。
肌に張りがなくなったとか、心の声で言うのかい。でも以前は人の眼を見るということを
しらなかったんだ、真実を隠しつつ、砂場にはトンネルを作った。久しぶりにてんとう虫
をみて、気持ち悪がった、私は成長したのだろうか。ぎりぎりと限界まで締められたボル
トを緩める気力も無く、慢性肩こりです。眠りに落ちるときと、死ぬときは似ているのだ
ろうか。毎日のように考えるよ。まるくなって爪を切るとき、祖母の姿がふっと浮かんだ
りする。追いつかないんです。思考さえも私を置いていく。夜は相変わらず良く見える。


撫で
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