ひとりと独り/殿岡秀秋
ひとりで遊びはじめる
空想で
プロ野球の選手になるために
ユニフォームを着る
実際には青い縞模様のパジャマに
長い靴下をはいて
野球のユニフォームと
ソックスの雰囲気を作っただけだ
小さな庭に想像で
円形の大野球場を作りだす
監督はかつての名選手で
投げてきたボールが
止まって見えるとかたった人だ
チームには名選手をそろえる
ぼくには新人として
入ったばかりという役割を与える
満員の観客の歓声が高まって
試合が始まる
ぼくはベンチに控える
チャンスがきて
監督が代打を探す
試合に出たいので
にらむように監督を見つめる
ぼくをみて
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