はちがつがこわい/木屋 亞万
 
入道のように膨れ上がり
雲の塔がミサイルを包み隠してしまった
笑う入道の白い歯の中を、不発のミサイルはまだ飛んでいるはずだ

八月は雷が増える
青空を翔る飛行機雲が牙を剥く、
飛行物体は旅客機ではない、繰り返すそれはヒコーキではナイ
人はソレが降り立つことを着弾と呼ぶ

誰かが誰かに怒っている八月
誰かが怒ることに誰かが怒る八月
充満する怒りのなかティッシュが空から降る夢を見て、むせび泣く八月
七月に事故にあった友がいなくなっていた八月
戦争を知らなくても理不尽な死くらい知っている、は、違う?
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