食物連鎖/ジャイコ
君の首筋に
この指をなぞらせる
はやく
心臓をえぐりだして
左心室の筋肉の美しさを閉じ込めてしまいたいと思う
虚ろを見据えるその瞳は
もう二度と脳内と信号を交換することもないのだ
たぶん明日になれば
いや
もうすでに今も刻々と
この身体の腐敗は始まっていて
青白い皮膚からも
徐々に温度は消えて行こうとしている
ああ。
なんて美しいんだろう。
白いシャツの隙間から覗く白い双つのふくらみも
紺の布地の下から伸びる長い足も
すぐに切り離してあげようね
はやく君の大腿骨に触れてみたいな
空はすでに
白みはじめていて
手にした刃物の冷たさだけが
まるで世界を非難しているかのように
脂肪と血液のぬめりを
僕に生々しく伝えるのだ
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