青いカクテル/薬指
おれ高校のときから女の子とうまく話せなくってさ
バンド始めてからもコンプレックスっていうのかな
負い目が消えなくてステージの上でベース弾いてても
いいところでふわっと冷めちゃうんだよね
あっおれ今きゃあきゃあ言われたくてしょうがないだけなんだなって
別に音楽が好きだからとか雑誌のインタビューに載るような
ひとに誇れる理由でベース弾いてるんじゃないんだなって
気づいちゃうんだよね
十代のとき暗くって不幸だった分
今必死で派手なフリして取り返したいだけなんだよ
きっと
借金返してるだけ
みたいな
おまえ一回ライブ来てみなよ
おれきっと寝起きみたいなぱっとしない顔でツッ立って
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