首都/
たもつ
したが
マリエはもういないので
これから、も
見に行こうか、もありませんでした
マリエと最後に見たのは
公営住宅の三階か四階の
狭いベランダに干されたシーツでした
もしかしたらただの白くて大きな布、
というだけだったのかもしれませんが
二人ともシーツ、と思って
シーツ、と言いました
首都が終わりをむかえるころ
ベンチに木漏れ日が落ちて
模様のように綺麗でした
そしてそのころになると
どこまでも話だけが続いて
すでにわたしの姿も見あたりませんでした
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