犬(完全版)/鈴木まみどり
えず
(もちろん、論理のことである)
空へ帰すまえに砕いてしまったのだそれが昨日の雨だった
理論は
どうしたって美しさばかりを気にしている
そして常に挑発的なのだ
だから無視をすることができない
世界の情熱は大概
理論の仕業だったりするので
、論理
はどんなときも二位である
甘んじて…
神はとうに死に絶え
と先導したのは理論だった
このコンロの火が緑に光るのも
魔法
などではなく、/ない!
「科学はこのたび国教になりました
蜘蛛の巣のような聖書もあります」
*
わたしは感性に飼い慣らされている
孤独の輪郭をなぞっているようなものだ
男
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