無言/木立 悟
 





傷が降り
窓にとまる
話し声
水の声


青と白
多くを知る不幸
管楽器
追いやられて


父も母も妻も子も
友も自己も他も無機もない
夜のまぶしさ
見えない明るさ


じっとじっと
庭は漲る
欲めるものどうしが
欲めあう


何をくぐってきたのか
皆まだらに日焼けしている
岩もある
塩の曇もある


明日は呪いではなく
明日は繰るものでなく
明日は不確かな
休戦の日


裾に入り込む言葉
音のお手玉
無言のくちびるを
見つめる


剥がれては青を見ない青になり
水に鏡に打ち寄せる
昼の星の
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